この記事は
・職場のスタッフがうつと診断されてしまった。
・どのように休職してもらったらいいか分からない。
・復職するときにはどうしたらいいのか分からない。
そんな管理職、人事労務担当者に向けて書いています。
こんにちは。元管理職、現人事労務担当者のでぃがーです。
ちょうど今、僕の所属している法人の歯科医院で1名「うつ状態」と診断されて休職しているスタッフがいます。
1ヶ月休職して、主治医の先生から復職可という診断書が提出されたので、復職に向けて準備を進めています。
これまでも介護施設の管理者として数人の休職と復職の支援をしてきましたし、自分自身もメンタルダウンして休職、復職した経験があります。
過去の経験を思い出しながら、これまでも参考にしてきた本を読みながら、
会社にとっても、職員にとってもよい方向に進めていくためにはどうしたらよいか書いてみたいと思います。
↓参考書はこちら
まずは異常の発見から
働いている中で周りのスタッフから報告が上がってくることが多いです。
具体的な報告内容としては
- 笑顔がない
- コミュニケーションをとろうとしない
- 勤怠が乱れる
- 必要以上に怒ったり、悲しんだりする
といった内容が多いように感じます。
このような報告が上がってくる時点では、残念ながらもうかなり手遅れになっていることが多いです。
本当だったら、そのような報告が上がってくる前に普段から面談の機会を持つなど、早めに気づいて対処できる環境があるといいんですけれど、なかなか難しいのが現状です。
もし、このような報告をたくさん聞くようになったり、実際に人間関係のトラブルが発生した場合には、速やかに本人と面談の機会を持つようにします。
面談では何を話す?
僕たちは医者ではないので、スタッフのことを病気だと簡単に決めつけてはいけません。
ですが、もしかしたら精神疾患になっていて、言葉かけによってはまずい事態を引き起こす可能性は十分にあります。
特に、うつなどの精神疾患が疑われるスタッフとの面談で大切にしている姿勢は
- 否定しない
- 励まさない
- 心配している
- すぐに休ませようとしない
の4つです。
自己肯定感がかなり低くなっている可能性がありますので、スタッフのことを否定したり、励ますことは厳禁です。
また、うつなどの精神疾患が疑われるスタッフのことを心配せず、会社のことや自分のことばかり考えているような姿勢が伝わると心を開いてくれなくなりますので、言動から「あなたのことが心配だ」という気持ちが伝わるように接することを心がけています。
また、対応を焦るあまり早く休職させようとしたり、退職させようとしてはいけません。
スタッフ本人から休ませて欲しいと訴えがあれば別ですが、基本的には
1回目の面談:客観的情報(周りからの報告の内容)を伝えて心配であること、もしこのまま状況が改善しないようであれば、精神的な疾患である可能性もあるので、労働契約の内容が履行できる状態か医師にみてもらうことも視野に入れなければならないことを伝える。
2回目の面談:状況が改善に向かっていないことを伝え、スタッフ自身の心身の健康のため、また職場のためにも、このまま働き続けてもらうことはできないことを伝える。
といったステップを踏むことが大切だと思います。
いきなり、「精神的におかしいから病院に行ってみてもらいなさい」と言っても受け入れてもらえる可能性はかなり低いです。
極力時間にゆとりを持ち、ゆっくりと話を聞く姿勢も大切だと思います。
そもそもの話になりますが、休職は法律で定められているものではないので、就業規則で定める必要があります。定めていない場合は、大変ですが、まず制度を作るところから始めましょう。
https://www.kanagawas.johas.go.jp/files/libs/190/201711221555038968.pdf
↑休職・復職に関する就業規則(例)
こちらを参考にするとよいと思います。
休職期間中の対応
有休消化ができればよいですが、有給を使い切ってしまっている場合には、休職となります。
医師の診察を受ける、または、診断書の提出をもって休職となる場合が多いです。
休職期間中は無給となりますので、傷病手当金が支給されるように手続きを行います。
この際に、スタッフから
「労災の対象にはならないのですか?」
と質問を受けることが多いです。
この質問に対しては、下記のページが参考になります。
https://www.mhlw.go.jp/content/001168576.pdf
うつなどの精神疾患を発病するには様々な原因があり、整理すると
- 業務による心理的負荷
- 業務以外の心理的負荷
- 個体的要因(スタッフ自身の性格や既往など)
の3つに分けることができます。
医療機関の労災で代表的なものに「針刺し事故」(誤って注射針などを医療従事者自身に刺してしまうこと)があります。
このような身体的損傷による労災と違い、うつなどの精神疾患は業務以外の心理的負荷や個体的要因が原因ではなく、完全に業務による心理的負荷が原因であることを証明することが難しいです。
なので、基本的には傷病手当金の支給の手続きを進めることが多いですが、事前に上記のような説明を添えるとスタッフからすると、より安心かもしれません。
いよいよ復職に向けての準備!
医師の診断や診断書に記載された休職期間が終了に近づいてきたら、再度医師の診察を受けてもらい、復職が可能かどうかを判断することになります。
基本的な復帰の条件としては
「休職前に行っていた通常の業務を遂行できる程度に回復したこと」を言います。
つまり、労働契約の内容を履行できる状態になっていることを指します。
ですが、うつなどの精神疾患の場合、完全に治癒というのは難しいことが多いです。
この採用難の時代に、完全に治癒していないから復職させずに退職させるということが得策なのかどうか、十分に検討しなければなりません。
そんなときには雇用条件を配慮した「リハビリ出勤」をさせることがあります。
または、診断書の中に「復帰にあたり配慮が必要」と記載されている場合もあります。
ですが、診断書にはその点が詳しく記載されていることはほとんどありません。
なので、リハビリ出勤をさせる場合、または配慮が必要な場合には、復職前にスタッフと面談を行い、どのような配慮が必要なのか擦り合わせをしておく必要があります。
スタッフと受診している医療機関の同意を得た上で、受診に同行して、直接医師から配慮が必要な内容について確認できれば間違いありません。
復帰に向けての配慮として具体的に労働条件を変更する内容としては
- 配置
- 役職
- 労働時間
- 出勤日数
などが挙げられます。上記が変わることにより給与が変更になることも考えられます。
トラブル防止のために、必ず事前に労働条件について説明を行っておきましょう。
また、基本的に「休職前に行っていた通常の業務を遂行できる程度に回復したこと」が前提になりますので、勤務時間や日数を減らしている場合には、どのくらいの期間をめどに休職前の状態に戻していくのかも事前に明らかにしておくとよいと思います。
また、復帰前に職場のスタッフにも配慮が必要であり、協力が必要な事項については事前に説明しておきましょう。
そのようなことに異論を唱えるスタッフもいるかもしれませんが、「明日は我が身」、「お互い様」の精神で助け合っていけるよう協力を依頼しましょう。
このあたりについては、参考書に詳しく記載されています。
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復職後にするといいこと
復職後も定期的に面談の機会を持ちましょう。
会社側が定期的に様子を確認して、必要な助言や支援を行うことは大切です。
それはうつなどの精神疾患から復帰したスタッフのためでもありますし、
万が一完全に復職できず、退職せざるを得なくなったときのためのリスク回避にもつながります。
復職に向けて会社が手を尽くしたという証拠が残っていれば、仮に退職した職員が不当解雇として訴えてきても、裁判で負ける可能性を減らすことができます。
面談内容、助言や支援内容を書面に残し、確認したという意味でスタッフに署名してもらうことができればなおよしです。
うつになった職員にどう対応するか? まとめ
うつなどの精神疾患になったスタッフにどのように対応したらよいか、休職から復職について書いてきました。
このようにスタッフがうつなどの精神疾患になり、休職してしまうとかなり時間とコストがかかってしまいます。
なので、このような状態にならないようにスタッフと定期的にコミュニケーションをとる機会を持つことが一番大切だと思います。
もしうつなどの精神疾患になり、休職せざるを得なくなってしまった場合には、この記事や参考書を参考にしていただけると嬉しいです。
あとは、法律が絡んだ難しい問題になる可能性も高いので、顧問の社会保険労務士さんともコミュニケーションを取りながら、焦らずに対応していけるとよいですね。
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おしまい
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